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ただ今より第2部iPS細胞Q&Aセッションを始めます。まずはシンポジウムの申し込みのときに皆さまから寄せられた質問を私の方から先生方にお尋ねします。それでは、まず山中先生にお聞きします。「iPS細胞とES細胞のそれぞれの長所と短所について教えてください」ということです。 山中 ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)は細胞の性質としては非常によく似ています。恐らく培養皿にES、iPSと書き忘れたら、もう区別ができなくなるくらいよく似ています。しかし、由来が違っています。ES細胞は受精卵から作るのに対して、iPS細胞は大人の体の細胞から作ります。この由来の違いが長所にもなり短所にもなります。 ES細胞は受精卵から作ります。受精卵というのは、元々いろいろな細胞になる力のある万能細胞とも言われる細胞ですから、それから作ったES細胞は自然に近い状態の細胞です。しかし、iPS細胞は分化した細胞を無理やり時計の針を逆戻しして作るような細胞ですので、やはりその過程で、遺伝子に傷が付いているのではないかということが心配されます。 安全性という面を考えると、今の段階ではES細胞の方がやはり安心できるのではないか、iPS細胞はiPS細胞を作る段階で何か本当に変なことが起こっていないかということを十分に調べる必要がありますので、その安全性という面では、現段階ではES細胞の方がより安全性が高いと考えています。 一方で、ES細胞は受精卵からしかできないので、なかなかたくさん作るということはできませんし、患者さんご本人から作るということもできません。この点についてはiPS細胞はクリアできます。いずれにしても、両方とも長所と短所があります。 結野 次は、「iPS細胞研究を多くの人の役に立つように進めてほしいと思っていますが、先日テレビ番組で人と動物のキメラ(種が混合したもの?)の誕生や、生殖細胞を作ることも可能で、人工生命の誕生も可能性であるということを知り、少し心配です。研究をどのように進めるかを考える必要があると思ったのですが、山中先生のお考えを教えてください」という質問です。 山中 iPS細胞に限らず、すべての科学技術には必ずいい面と、悪用しようとすればふさわしくない使い方もあり得ると思います。例えば、包丁は便利な道具ですが、もしこれがなくなったらどれだけ不便になるか、皆さん想像してみてください。たちまち料理ができなくなるし、おいしいご飯が食べられなくなるわけです。ところがナイフや包丁は一歩間違えると、他者を傷つけることにも使われてしまいます。普通の人はナイフや包丁を持ったらおいしいものを作ろうとは思っても、ほかの人を傷つけようとは思わないものです。だからナイフや包丁を皆さんも使っておられる。スーパーでも買えるわけです。 科学技術も私は同じだと思っています。iPS細胞も本当に悪い心を持って、本当に変な使い方をしようと思えば変な使い方ができる可能性はあります。私たちは、こういう可能性はあります、ということを隠さずに示す必要を感じています。ただ、皆さんに分かっていただきたいのは、私たち科学者はそんなに悪い人間ではありません。ナイフを持って人を殺そうとか、人を傷つけようと思うタイプの人間ではありません。みんな、どうやってこの細胞で病気を治せるかを考えていて、キメラの実験をしようと思っておられる先生は、気持ちの悪い人間と動物の混ざった生物を作り出そうなんてこれっぽっちも思っていません。臓器不足の臓器を何とか作れないかと考えているのです。 先ほど長船先生の話でありましたが、肝移植すれば助かる命が毎年日本だけでも何千人と失われていっているわけです。何十万人という方が腎不全で透析を受けて、本当に不自由な生活をされているわけで、腎移植をしたら全く人生が変わるわけであります。しかし、ドナー不足で臓器移植したくてもできない。遠い未来に何とかiPS細胞を使って臓器を作れないかという目標に向かってキメラの実験を考えている先生はおられます。 また、生殖医療に関してですが、不妊症で苦しんでおられる方もたくさんおられ、ます。それを何とかするために、iPS細胞を使えないかという思いから生殖細胞へ分化する研究をされている先生はいます。決してそれ以外の変な使い方をしようとは思っていません。だから、ぜひ科学者をまず信じていただきたい。 そうは言いながら、ナイフや包丁で人を殺めるケースも日本でも毎年確実に出てくるわけです。国の指針を守らない科学者がもしもいれば、その人は罰せられるということもきちっと定める必要があります。現在、文部科学省は動物と人間のキメラを作るという実験については、受精卵着床までだったら認めています。将来の臓器を作る可能性がある技術ですから、着床までは認めるが、それ以降の妊娠の継続は一切認めないという指針を出しています。生殖細胞も、生殖細胞分化は認めるが、受精はさせては駄目だというはっきりした線引きをしています。包丁を例にとると、それで魚をさばくのは問題ないですが、人を傷つけると法律で罰せられるのと一緒です。 科学技術は決してかけ離れたものではなくて、日ごろ身の回りで起こっていることと同じような問題ですので、何か特殊なものととらえていただきたくないということと、科学者は決して包丁を持ったら変なことをしたくなるタイプの人間ではありませんので、ぜひ信じていただきたいと考えています。 結野 次に髙橋先生にお聞きします。「iPS細胞やES細胞から、どんな神経細胞でも安定して作ることができるのでしょうか」という質問です。 髙橋 まず、ES細胞から神経を作ることとiPS細胞から神経を作ることに違いがあるかということですけれども、ES細胞だから神経ができやすい、iPS細胞だからできやすいということはなくて、ES細胞からもiPS細胞からも同じように安定して神経細胞を作ることはできます。 長船先生のお話にもありましたように、iPS細胞、ES細胞からいろいろな種類の臓器の細胞を分化誘導できますが、幸いなことに神経というのは比較的誘導しやすい、あるいは誘導の仕方がよく分かっている細胞です。そういった意味で、ES細胞、iPS細胞から神経の細胞の分化誘導というのは安定的にできます。 いろいろな種類の神経細胞があると私の講演の中で申しましたけれども、脳の中のかなりの部分はGABAやグルタミン酸を産生する小型のタイプの神経細胞です。例えば私が今扱っているドーパミン神経細胞あるいは運動神経細胞などの、大型で突起の長い神経細胞と比べますとiPS細胞から誘導しやすいのは小型の神経細胞です。ですので、iPS細胞からドーパミン神経細胞を誘導するには、必要なシグナルを適切な時期に、適切な量を与えるということがより重要になってきます。 結野 もう1問お願いします。「海外では中絶胎児の神経細胞を使ったパーキンソン病の臨床研究があるそうですが、そういった研究の治療効果や現状と、iPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床研究は、いつ頃から始まると考えればいいでしょうか」という質問です。 髙橋 欧米では、特にスウェーデン、それからアメリカ、カナダを中心に胎児細胞移植がすでに数百例行われています。先ほどお話ししましたように、あまり重症になりすぎると効果がないのですけれども、いいときには自分で歩けるぐらいの重症度の方にとっては、胎児細胞移植は効果があるということが分かってきています。 しかしその反面、不随意運動が起こるというような副作用も明らかになってきています。そこで、ヨーロッパの研究者を中心に、今までに2回、二重盲検テストというきっちりとした臨床研究が行われているのですが、もう1回そういう臨床テストをやろうという試みがされています。それはもうすぐ始まり、2014年までにはその結果を出すと聞いていますので、その結果が待ち遠しいところです。 いずれにしましても、胎児細胞移植を受けてよくなっている人が多数おられるということは、症例をきちんと選んで正しく移植をすれば細胞移植は効くということですので、この事実はiPS細胞を用いた再生医療研究を進める上でも確固たる基盤になると思います。 私は外科医ですけれども、外科の手術で何が大事かというと、その適応、すなわち、どういう患者さんに効いてどういう患者さんには効かないということをきちんと見極めるということです。今からヨーロッパを中心に行われる臨床研究には注目していきたいと思いますし、それと並行して、日本では胎児細胞移植ができませんので、われわれはiPS細胞やES細胞を使った幹細胞移植治療を安全かつ効果的な形に仕上げていくということが大事だと思います。 そのための課題としましては、腫瘍形成につながるような未分化な細胞は取り除いて、ドーパミン神経細胞だけをいかに純化していくかがひとつのポイントです。願わくは、ここ1~2年の間にその課題はクリアして、そこから先は、例えば霊長類などを使った前臨床試験をきちんとやって、臨床試験にもっていきたいと思っています。CiRAとしましては、10年以内には臨床試験にもっていくという目標を持っています。 結野 それでは今度は長船先生にお聞きいたします。「1型と2型の糖尿病の、どちらにも細胞移植治療などは有効なのでしょうか」という質問です。1型と2型の糖尿病についても簡単に説明をお願いいたします。 長船 まず糖尿病ですが、膵臓の中に膵島と呼ばれる細胞の塊が何カ所もあり、その中に血糖を下げる働きを持つインスリンというホルモンを分泌する細胞が含まれています。普段、われわれがご飯を食べますと血糖が上がりますが、それに反応して膵島がインスリンを分泌することにより、血糖が一定に保たれています。糖尿病というのは、簡単に言いますと膵島の働きが悪くなってインスリンの分泌が低下あるいは全くなくなってしまう状態です。 糖尿病には、1型と2型があり、一般的に1型の方が血糖コントロールが難しい場合が多いです。1型は原因が未だによく分からないのですけれども、患者さん自身の白血球が自身の膵島を異物だと感じて攻撃することや、それ以外の原因もありますが、結果として完全に膵島が壊されインスリンがほとんど分泌されない状態になってしまいます。非常に若い年齢で発症し、インスリン注射を一日に何回も打たないといけない、あるいは、インスリンポンプというインスリンを体内に注入するポンプを携帯しないといけないという状態になる場合が多いです。日本における2型の糖尿病患者数が800万人以上と推定されているのに対して、1型の患者さんは、恐らく5~6万人と言われており少数です。しかし、私も何人かの1型糖尿病の患者さんを診察した経験がありますが、確かに血糖コントロールが難しい症例が多かったと記憶しています。 一方、2型というのはいわゆる生活習慣病です。体質や遺伝的な要因などこちらも正確には原因が分かっていないのですけれども、何か糖尿病になりうる素因がある人が、過食や運動不足などで肥満になったりするとインスリンの分泌および効果が減弱して発症するものです。しかし、ほぼ完全にインスリン分泌がなくなる1型に対して、2型は完全にはなくなりませんので、1型と比べて血糖コントロールが困難ではないことが多いです。 質問への回答ですが、現在、膵島移植というのはドナーの数が少ないこともあり、より血糖コントロールの難しい1型の患者さんに優先的に行われています。しかし、2型の治療法というのも、インスリン注射と血糖降下薬という疲れている膵島をがんばらせて無理やりインスリンを分泌させる薬を投与することが多いです。そして、長年そういうお薬を飲んでいますと2型の人の膵島も徐々に疲れてきて、インスリンの分泌量も減り、血糖コントロールが難しくなっていきます。よって、どこまでが基準なのかという線引きをするのは難しいのですけれども、2型もコントロールが困難になれば膵島移植の適応になると考えます。 先ほどお示ししたようにカテーテルでドナー膵島を肝臓に直接移植する治療法である膵島移植は、他の臓器の大きな手術と比べますと比較的体への負担の小さい手術です。iPS細胞研究が進み、膵島を患者さんの皮膚から簡単に作れるようになって、簡単に移植できるようになれば、多くの糖尿病の患者さんに適用できると考えています。 結野 長船先生、もう1問お願いします。「将来的にiPS細胞を用いた医療技術は、現在の臓器移植の課題を克服して置き換わると考えていいのでしょうか。それとも別の医療として発展し、患者にとっては治療方法の選択肢が一つ増えると考えればいいのでしょうか。医療の将来像をどのように想像されていらっしゃるか教えてください」という質問です。 長船 まず答えから述べますが、近い将来には、一つ選択肢が増える、つまり、従来型の臓器移植とiPS細胞から作られる細胞を移植する治療法が併用されると考えます。そして、遠い将来には、これは理想でもあるのですが、iPS細胞によって今までの臓器移植が完全に置き換わってくれればと期待しています。その目標ために毎日全力で研究を頑張っているのです。 膵臓や腎臓、肝臓というのは、他の臓器に比べて再生医療の研究が難しいです。願わくは3次元の完全な膵臓、腎臓、肝臓を作ることができればいいのですけれども、現時点ではそれらの臓器の細胞を作ることを目指しているレベルで、完全な臓器を作るのはさらに先の話であって、そこまで行くのにはまだまだ時間がかかることが予想されます。 また、現在の臓器移植は、脳死の患者さんなどからの完全な臓器を使用していますので、細胞を移植するのに比べると、もちろんその治療効果はより完璧に近いものがあります。近い将来に、たとえそれらの臓器の細胞をiPS細胞から十分に作れて移植できるようになったとしても、例えば軽症の患者さんの病状が悪化するのを抑えられる程度の治療効果しかない可能性もあり得ます。ですから、近い将来は、2つの移植療法の併用が必要と想像します。そして、遠い将来には、患者さん本人から作られるため拒絶反応の問題のないiPS細胞を用いて、細胞だけではなく完全な臓器や組織を作り移植することが可能となって、現在の臓器移植が置き換えられることを期待します。 結野 ここまでは事前に寄せられた質問の中から先生方に回答をいただきました。ここからは、今日会場の皆さまから直接質問をお受けして、先生方に回答をいただきます。 参加者A 山中先生にお聞きしたいのですが、今年の5月にサイエンティフィック・アメリカンという雑誌を読んで、マルチポテントとトーティポテントというものがあると聞きました。これらについて教えてください。 山中 今言われたトーティポテントというのは英語で、日本語では全能性と言われる性質のことです。この全能性というのは、どういう意味かと言うと、1個の細胞をお母さんの子宮に入れると子どもが生まれるという能力です。そういう力を持っているのは受精した受精卵だけでありまして、ES細胞もiPS細胞もその力はありません。ですから、(ES/iPS細胞を)トーティポテント、全能性とは言わずに多能性と言います。いろいろな細胞にはなれますが生命、新しい個体を作る力はありません。 参加者B 2006年8月京都大学の山中伸弥教授のチームは、世界で初めてiPS細胞を作り出すことに成功し、発表しました。先生は神戸大学、大阪市立大学、奈良先端科学技術大学院大学、京都大学といらっしゃいまして、先生はどこで山中ファクターのiPS細胞を発想できたのでしょうか。 山中 iPS細胞の最初の発想というのは、もう随分前の話で、人間のES細胞が作られたのが1998年ですから、そのときから何とか受精卵以外からES細胞ができないかなと。だからそのころは大阪市立大学におりました。それを奈良先端大に行って実際にそういう研究を始めて、京大で最終的に完成したというのが歴史です。 参加者C 成人の体細胞に山中ファクターを振り掛けるとリセットされてどんな細胞にでもなるというのは非常に驚きです。細胞がまだそういうリセットされ得る能力を残しているということは、何かそれが必要だからではないかなという気がするのですけれども、生体の中で、自然な環境でも何か特殊なことが起こると、そのようなリセットされるということも起こり得るものなのでしょうか。 山中 精子と卵が受精する瞬間にものすごいリセットが起こるのです。精子も卵もすごく複雑に分化しているというか、特殊な細胞なのです。精子は尻尾まであり形も特殊ですが、卵子も実は非常に特殊な状態なのです。それが受精した瞬間にぱっと今までのいろいろなことが消えてしまって、言ってみれば真っ白に近い状態に戻るのです。ものすごいリセットが起こりますから、それはもう自然にも起こることです。受精のときに起こるリセットに比べたら、iPS細胞の作るときに起こるリセットというのはまだまだ部分的にしかすぎないです。そういうことを考えてもやっぱり私たちの生命、私たち人間だけではなくてすべての生命の力というのはものすごいものがあります。、本当に医者も研究者もまだそのほんの一端しか理解していないということを、このiPS細胞研究を通じてあらためて強く実感しています。 参加者D 僕は脊髄損傷になってしまって胸から下が全く感じないし動きません。再び歩くためにトレーニングを毎日8時間しています。 将来iPS細胞技術がもし確立したときに、まだ体が何も問題が起きていないとして(移植を)受けられるのかどうかをお聞きしたいです。 山中 私ももともと整形外科医でありますし、私もラグビーをしておりましたので、自分に起こってもおかしくなかった怪我ですので、本当に何とか脊髄損傷の治療にも貢献したいという思いは強くあります。 脊髄損傷の治療というのは、1種類の治療でどうにかなるというものではなくて、いろいろな種類の治療が組み合わさって初めて可能になる可能性があると思っています。細胞移植はもちろん一つでありますが、いろいろな薬もどんどん開発されていますし、何と言っても忘れてはいけないのは、リハビリというのはものすごく大切であります。 日本でも、例えば、慶應大学のいろいろな先生がそういう総合的な治療を考えておられますので、私たちとしてはそのうちの一つである細胞移植という部分について、でき得る限りの貢献をしたいというふうに考えております。脊髄損傷の治療をずっと されている先生たちにぜひ今後も協力していきたいと考えています。 それがいつになるのかというのは、なかなか簡単には予想ができないのですけれども、1日も早くそういうことが実現できるようにという気持ちを強く持っています。 参加者E 遺伝子三つか四つを用いて細胞を初期化できるということですが、それを二つだけに、あるいは一つだけにしたときに分化の途中の段階まで進んでしまうのでしょうか。途中まで進んだところまで巻き戻してやった方が効率がいいのではないかと思うのですが。また、将来的に巻き戻しと分化というのを同時にできるような方法が見つかりそうなのか教えていただきたいと思います。 山中 私たちが四つの遺伝子で初期化できるということを報告してから、世界中の研究者が競って四つを三つに、三つを二つに、二つを一つにしたということを行いました。結局今多くの研究者が考えているのは、因子を少なくすると初期化が不完全になってしまって、非常に質にばらつきが出てしまって結局よくない。むしろ今はもっと因子を増やしてでも完全にES細胞と同じ状態にできるか、どうしたら確実にばらつきを少なく完全にできるか、そちらの方向に研究はシフトしていると思います。 二つ目のご質問は、今数少ない因子で皮膚細胞がES細胞と同じ状態まで戻したということで、やはり世界で競って研究者が行っているのは、iPS細胞にはしなくて、皮膚細胞を神経の細胞に直接変えられないか、皮膚細胞を心臓の細胞に直接変えられないか、そういう研究を一生懸命やっていまして、幾つか成功例も報告されています。今後はiPS細胞に加えて直接目的の細胞を作り出す、そういう技術も広がっていくのではないかと期待しています。 参加者F (iPS細胞研究推進のために)私どもが協力できるようなことがあるのであれば本当に喜んでお手伝いさせていただきますので、その予算の実態を教えていただきたいと思います。 山中 国からは大変手厚い支援をしていただいております。来年度に関しては一部が政策コンテストということになっております。そのコンテストというのは、一般の方がいろいろな政策を見て、どれを今後推進するべきだという国民の意見を聞くということだと思いますので、ぜひその政策コンテストをウェブ等で行っていただいて、これと思われる研究についてぜひ意見を言っていただけたら思います(「政策コンテスト」への意見募集は終了しました)。 もう一つは、アメリカも日本もそうなのですが、国の予算というのはどうしても年度をまたげないという制限がほとんどの予算にあったり、そのプロジェクトの期間が3年、5年という比較的短期ですので、物を買ったり機械を買ったりはできるのです。しかし、優秀な人を長期にわたっていい条件で雇用するということがなかなか難しい状況になっております。 先ほども言いましたが、アメリカではそれを個人からの寄付等でカバーして、うまく回っているという点もありますので、寄附のお願いをするみたいで申し訳ないのですが、iPS細胞研究基金がありますので、ぜひご協力願えましたら、優秀な人材の確保にぜひ使わせていただきたいと思っております。物や建物は国からのご支援で本当に日本でも最高の環境で研究をさせていただいております。人材の確保という点ではなかなかまだまだ苦戦しておりますので、ぜひご協力いただけたらと思っております。 参加者G 私はALS患者の家族の者です。現在ALSはほとんど治療がありません。ちょっと見放されたような状態だと思うのです。それでiPS細胞は、ALSの症状が進んだ場合でも効果があるのかというか、期待できるのかということをお聞きしたいと思います。 山中 私たちはALSを含めて、難病の患者さんを決して見放したりはしていません。もう必死になって研究をしています。ただ、残念ながら現段階でALSに関しては、iPS細胞は再生医療で使うというよりは、やはり薬を開発するための道具だと思っています。今一生懸命CiRAでも井上治久准教授が中心になって、たくさんのALS患者さんからiPS細胞を作って運動神経細胞に分化させて研究をしています。世界でもハーバード大学などいろいろなところでやっています。それを使って今薬の開発をしようとしています。今はまだ薬はありません。今化合物のスクリーニングを一生懸命しようとしています。山ほどある化合物の中から探すという操作ですから、いつ頃見つかるかということは予想できませんが、それに向けて本当に最善を尽くしています。ぜひ日本の製薬企業などにも力を貸していただきたい。やはり大学でできる創薬というのは本当に製薬企業から見るとママごとみたいなことしかできませんので、日本にも優れた製薬企業がたくさんございますので、ぜひ力を貸していただいたら何か薬が見つかるのではないかと期待しています。 参加者H 私はパーキンソン病です。最初に臨床試験をされるときに、細胞移植による癌化についてどのようにお考えになるのでしょうか。 髙橋 細胞移植によって細胞が癌になってどんどん増殖するかという意味のご質問だと思うのですけれども、これはあってはならないことだと考えています。 現実問題として、研究が進んで来る中で、少なくとも未分化なiPS細胞が混入してそれが脳の中で腫瘍化するというようなことは、かなりな確率で防ぐことができるのではないかと考えています。iPS細胞ではなく、未分化な神経細胞の増殖を抑えることが今後の課題です。 安全な細胞が、移植された後に癌化、すなわち悪性化するかどうかに関しましては、分からないというふうにしか答えようがありません。移植するしないにかかわらず、すべての方にとって、その方のもともとの細胞が癌化する可能性があります。免疫抑制剤をかなり強力に使うといろいろな癌ができてくる可能性もありますので、そのような点には注意を払う必要があるかもしれません。 参加者I iPS細胞からの臓器の再生というのが将来的な最終目標だと考えているのですが、臓器ごとに異なる再現性というのは一体どんな因子によって決まっているのでしょうか? 山中 受精卵という一つの細胞だったものが、人間の場合だったら10カ月後にはもうすべての臓器をきちっと作りだします。マウスの場合、3週間でそれができてしまうのです。どういうメカニズムで、一つの受精卵から心臓ができ、肝臓ができということを研究する発生学という学問があります。その発生学の研究者たちが何十年間もいろいろな研究をされています。その結果、それぞれの時期で、こういう物質が働いてということが、かなり分かってきております。そのES細胞とかiPS細胞から、膵臓の細胞を作ったり、肝臓の細胞を作ったりというのも、その発生のときに起こる現象をできるだけシャーレの中で再現して、お母さんのお腹の中で起こったことをシャーレの中で再現するというのが、一番今実現性があるのではないかと言われています。 いろいろな臓器によって、全く違う物質が働いたりということも分かっております。ただ、まだまだ本当に複雑で、細胞を作り出すだけでも本当に難しい現状ですので、臓器を作るとなると気が遠くなるような研究がまだ必要だと思います。 体外で完全に臓器を作り出すというのは本当に難しいので、研究者の中には、動物の発生の能力を利用して、動物の体内で人間の臓器を作れないかという研究をされている研究者もいます。そうでもしない限り、なかなか体外で完全に細胞から臓器を作るというのは本当にちょっとやそっとじゃできないというくらい難しい技術だという理由があります。 参加者J 11歳の男子の孫がデュシェンヌ型の筋ジストロフィーを患っております。4歳のときに発病し、現在は車いすの生活を送っております。iPS細胞による創薬あるいは治療が可能かどうか、もし可能であるならば何年後ぐらいに始まるかを教えてください。 山中 将来的には可能になることを目指して今一生懸命研究しています。私たちの研究所の副所長の中畑龍俊教授、桜井英俊講師がiPS細胞からの骨格筋、筋肉の分化という研究を行っております。既に筋ジストロフィーの患者さんからのiPS細胞も作って、何とか創薬もしくは再生医療につながらないかという研究はしておりますが、誠に残念ながら現段階ですぐに何か薬ができているとか、細胞を移植できるとかそういう状態ではありません。 有効な治療法がなかなかないわけですから、何とかしてその状況を打破したいという思いで今言ったような研究者が研究しておりますが、どの病気に対してもそうですが、(医療応用が)いつ頃実現するかという予想ができないのです。 iPS細胞を2006年にできまたと発表しましたが、2004年にはいつ頃できるか分かりませんでした。30年はかかる、もう一生できないかもしれない、くらいの気持ちで、これは本当に難しいと思っていました。しかしiPS細胞に関しては、幸い思ったより随分早くできました。それはいい方に予想が外れた例であります。逆に思っているよりもっと長くかかってしまうということもこういう研究ではよくありますので、本当に何年という予想は実際できないのです。 私どもの研究所の10年の目標で、10年のうちに一つでも二つでもいいから再生医療について臨床試験を始めたいと思っております。どの病気と限定できないのです。それは研究をやってみないと分からないという面もあります。 創薬についても、10年で一つでもいいから薬を作りたい。それが目標ですが、どの疾患というのは分からないのです。今患者さんのご家族に1年後に何かできますと言えたら僕たちも嬉しいのですが、ちょっとそういう状況には今ないということをご理解いただけたらと思います。今言えることは本当に一生懸命研究をしておりますので、その点もご理解願えたらと思います。 ニュース イベント イベントカレンダー ニュースレター 刊行物 シンポジウム質疑応答 2019年 2018年 2017年 2015年 2014年 2011年 2010年 2009年 報道用写真素材 CiRAについて 所長挨拶 設立趣旨・沿革 組織 施設・機器 シンボルマーク 交通案内 リンク お問い合わせ iPS細胞研究基金 ご支援のお願い ご寄付者へのお礼 ご寄付の使い道 税控除について 基金について よくあるご質問 研究活動 主任研究者 研究成果 CiRAにおける研究 プロトコール トレーニング 研究材料の提供 CiRAの知的財産 再生医療用iPS細胞ストックプロジェクト 研究にご協力いただいた皆様へ 教育・キャリア 学生対象インターンシップ 研究者対象インターンシップ 修士・博士課程 高校生向け Life at CiRA もっと知るiPS細胞 よくある質問 用語説明 教材紹介 フォトギャラリー 動画 ニュース・イベント ニュース イベント イベントカレンダー ニュースレター 刊行物 シンポジウム質疑応答 報道用写真素材 採用情報 募集中 掲載終了 T-CiRA Altos-CiRA 交通案内 | お問い合わせ | サイトマップ サイトポリシー・プライバシーポリシー Copyright © Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University. 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