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ホームイベントシンポジウム 日本学術会議-RIETIシンポジウム ダイバーシティ経営とワーク・ライフ・バランス(議事概要) 印刷 開催案内 配布資料 議事概要 開催報告記事 [PDF:633KB] イベント概要 日時:2016年3月22日(火)13:00-17:00(受付開始12:30) 会場:日本学術会議 講堂(東京都港区六本木 7-22-34) 少子高齢化が進む日本社会において、女性活躍を中心としたダイバーシティ経営とワーク・ライフ・バランス(WLB)の推進は、持続的な経済成長を維持していく上で避けては通れない戦略の1つとなっている。本シンポジウムでは、女性活躍推進がどのように企業経営や社会に影響を与えるのかを検証しながら、日本的な働き方を見直す必要性について議論した。第1部では、WLBの効果分析研究について5氏が報告、第2部では経済産業省の政策担当者や企業の代表、研究者が登壇し、WLB推進に向けた取り組みについて、企業、個人、社会のそれぞれの立場から議論を深めた。 議事概要 開会挨拶 矢野 誠 (日本学術会議会員経済学委員会委員長/RIETIシニアリサーチアドバイザー/京都大学経済研究所教授) 本シンポジウムは、経済学委員会の下のWLB研究分科会が企画したものである。分科会の活動は、次世代育成支援対策推進法の成立、政労使間におけるWLB憲章採択を受けて2008年から始まっているが、わが国のWLBの問題は進展していない。私は日本的な雇用制度が、男性の過剰な労働時間と女性の職場浸透の停滞を生み出しているからだと考える。また、RIETIがダイバーシティ経営の重要性を唱えているのは、同じ問題意識に基づくと理解している。 私個人としては、非正規社員の割合が現在の4割から相当に増えると考えているが、その中で新たなWLBの形成が喫緊の課題になると思う。今日のシンポジウムでそのような内容の議論が深められることを期待している。 中島 厚志 (RIETI理事長) 日本は女性活躍の面で、就業率のみならず、管理職への登用においても先進国の中で後れを取っている。また、「失われた20年」を経た今日も、経済活性化は依然として道半ばである。少子高齢化が一層進展する中、ダイバーシティ、男女平等、女性のしかるべき活躍を十分引き出すことを通して、活性化を図ることが必要不可欠である。 アベノミクスの中でも女性の活躍が叫ばれる今日、RIETIでは、この問題に対して長年蓄積してきた研究に加え、働き方改革、ダイバーシティ等を実現するために必要な企業経営の在り方などの研究が欠かせないと考える。本シンポジウムでは、これらの論点について活発な議論が行われることを期待する。 第1部:研究報告 報告1「働き方改革および育児短時間規制の出生と就業への影響」 永瀬 伸子 (日本学術会議会員/お茶の水女子大学基幹研究院教授) 2002年に20〜34歳であった個人を毎年追跡した厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」を2012年まで用いて、この間に結婚・出産した女性の就業状況をみる。正社員の割合は、結婚1年前でも53%にすぎず、結婚1年後は37%、第1子出産1年後には24%までに減少し、無職が65%に上がる。日本では依然として結婚・出産後に就業継続することが難しいことを示している。 しかし、2003年には次世代育成支援対策推進法が成立し、2008年12月には推進法が改正され、さらに2009年の改正育児・介護休業法の成立に伴い、3歳未満児がいる場合、原則6時間の育児短時間勤務制を取ることが雇用主の義務となった。 このような政策が、出生率や第1子出産後の就業継続率に影響したかどうか、こうした政策が企業規模で実施時期が異なることを利用して、政策の因果関係を分析するDD、DDD推計を行い、分析をした。その結果、育児短時間勤務の義務化は就業女性の第1子出産の確率を3割程度と大きく有意に引き上げ、第1子出産後の就業継続を同じく3割ほど大きく引き上げたという結果を得た。また育児女性の労働時間は有意に減少した。 一方で、第2子以降の出産に対しては、育児短時間勤務の義務化は有意な影響はなく、夫の育児参加と夫の年収の上昇が重要との結果が出た。しかし、日本における6歳未満児を持つ夫の家事・育児時間は先進国の中でも突出して低いことは良く知られている。 続いて次の分析として、職場規範が男性の家事育児分担を下げているのではないか、職場の男性の家事育児分担平均が男性の家事育児時間に影響を与えているかどうか分析した。この効果は有意であった。日本的雇用慣行が敷かれる企業ほど、残業は義務であり、転勤は断れない。また、査定が長期間なので若い頃に頑張り続けなければ後で挽回できない。こうした企業では男性の家事育児分担が低い傾向がある。夫の家事育児分担を推進するには、夫個人の価値規範ではなく、夫の職場規範を変える必要がある。 なお育児短時間は、出産および出産後の就業継続に大きな正の影響を与えたが、育児短時間をとることが賃金に負の影響を長期に与えないための工夫も今後重要となる。また、非正規雇用者に対する出産前後の保護は大変薄い。非正社員女性が増加する中で、彼女等に対する支援的な政策の拡充はこれからの優先課題である。また保育園の拡充も重要である。 報告2「女性活躍推進と企業業績」 山本 勲 (RIETIファカルティフェロー/慶應義塾大学商学部教授) 企業にとって女性活躍推進は、人件費削減と生産性向上の2つの面で企業業績を高める効果を持つ。女性に対する企業家の差別的嗜好は、女性の賃金をその生産性に比して不当に低く抑制する。そこで、有能な女性を相対的に安い賃金で雇用することで、企業は人件費を削減してレント(利潤)を追求できる。また、視点やスキルを活かしたイノベーションを通じても、女性の活用は企業の生産性を高めるといえる。 日本における女性活躍推進の効果測定として、企業を追跡したデータを用いて正社員女性比率・管理職女性比率と総資産利益率(ROA)の関係性を企業特性も踏まえて分析した。結果として、正社員女性比率が高いほど企業の利益率が高まることが分かった。この傾向は、30代女性を活用している企業、中途採用の多い企業、WLB施策が整っている企業で特に顕著であった。一方、管理職女性比率と利益率には、正の相関はあるが統計的有意差はない。ただし、中堅企業や雇用流動性が高い企業、新卒女性の定着率が高い企業では、管理職女性比率が高いほど利益率が高まっていた。 続いて、女性活躍推進を実現させる条件を検証したところ、職場での男性の働き方を見直す必要があるとの結論が得られた。長時間労働、長期雇用慣行、固定費の大きい賃金構造(賃金カーブが急で賃金分散が小さい)、画一的な働き方という阻害要因を是正すれば、女性登用が進展する可能性がある。 これらの阻害要因は、日本的雇用慣行と近似する。とはいえ、日本的雇用慣行は一定の経済合理性があるからこそ存在するのであり、それをなくすことによるコストやデメリットも生じうる。たとえば長時間労働は、労働固定費の大きさという日本的雇用慣行だけでなく、働き方の非効率性や負の外部性などの要因によるところも大きい。これを見直すことで、日本的雇用慣行をある程度維持したまま長時間労働を是正し、女性活躍を進めることができる。そのように、雇用の本質的な問題とセットで女性活躍推進を考えていく必要がある。 報告3「ダイバーシティ経営が正規雇用女性の賃金に与える影響について」 山口 一男 (RIETI客員研究員/シカゴ大学ラルフ・ルイス記念特別社会学教授) 日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、男女の賃金格差が韓国に次いで大きい。その日本において、ダイバーシティ経営施策が果たす役割を調べるため、企業が「性別に関わりなく社員の能力発揮を推進すること(GEO: Gender Equality of Opportunity)」方針を持つか否かとの関係によって、男女間の賃金格差にどう影響するかを調べた。 ダイバーシティ経営施策として、特にWLB施策と勤務地限定正社員制度の影響を見ると、GEO方針が存在する企業では、どちらもGEO方針の影響を超えて女性の賃金を上昇させ、かつ男女の賃金格差を縮小させることが判明した。しかし、男女の賃金格差に対するGEO方針と経営施策とのあいだには強い交互作用効果があり、その効果はWLB施策の方が限定正社員制度よりもはるかに大きい。このため、GEO方針がない企業においては、限定正社員制度は男女賃金格差に影響しないだけだが、WLB施策はかえって賃金格差を拡大させる。また、勤務地限定正社員制度がない企業でも、GEO方針があれば賃金格差を縮小させるが、WLB施策がない企業では、GEO方針があっても賃金格差が縮小しない。 つまり、GEO方針はダイバーシティ経営の基本であり、GEO方針があれば、平均的に女性賃金は向上し、男女賃金格差は減少する。しかしWLB施策は両刃の剣で、女性の人材活用と結びつけば男女格差を減少させるが、女性の人材活用を考えずに導入すると、女性へのただの福利厚生になり、かえって男女格差を増大させてしまうのである。一方、勤務地限定正社員制度は両刃の剣ではない。制度の有効性はGEO方針の存在に依存するが、女性の賃金格差解消にマイナスの影響を与えることはない。ただし、今回は勤務地限定正社員制度の影響のみの検討であり、時間限定正社員についても同様の結果が得られるか否かは、今後の分析課題である。 報告4「外資系企業の女性活用」 児玉 直美 (RIETIコンサルティングフェロー/一橋大学経済研究所准教授) 女性活用は、安倍政権以前は福祉政策の一環や人権問題として捉えられてきたが、安倍政権においては経済を活性化する成長戦略の1つと位置付けられている。これまで日本では、外資系企業では女性が活躍しているということがエピソードとして多く語られてきたが、私の研究では、このことをデータに基づき実証した。 外資系企業(外資比率10%以上)は、正社員女性比率や管理職女性比率、男女賃金格差などの面で、国内資本企業より男女均等であることが示された。これは、外資系企業の母国のほとんどが日本より男女均等であるという文脈では、外資系企業が母国の文化を日本の子会社に導入していることを示している。外資系企業における女性活躍は、在宅勤務、保育補勤などのフレキシブルでファミリーフレンドリーな雇用慣行と密接に関連している。 この傾向は、外資系になってからの期間が長い会社や、外資比率の高い会社で顕著に認められた。たとえば、外資系になって3年超の外資系企業の正社員女性比率は、国内資本企業平均の19%より約2%高かった。賃金構造も、学歴・勤続年数・業種・企業規模が同じ企業同士で比較すると、外資比率50%超かつ外資系になって3年超の企業で最も格差が小さくなっていた。このことは、企業文化の移植には時間がかかり、親企業の関与によって促進されることを示している。 以上のことから、女性活躍を経済活性化や企業の活力向上につなげるために必要なことを考えると、単に女性の数を増やすことが、即、企業の活力を上昇させるわけではない。女性活用を通じて、企業における働き方や企業文化をより効率的なものに変えることが重要なのである。そして、企業文化を変えるためには、時間と持続的な関与が必要となる。 報告5「女性の多重役割と健康問題―ワーク・ファミリー・バランスの観点から」 吉沢 豊予子 (日本学術会議連携会員/東北大学大学院医学系研究科教授) 女性のキャリア形成に対する考え方は年代で異なり、結婚かキャリアかを選択する時代(1980年以降)から、キャリア形成後に結婚・子育てという順序性の時代(1990年以降)を経て、2010年以降は子育てとの両立が求められる時代になっている。 第1子出生時年齢は1983年の26.5歳から2013年には30.4歳に上昇した。晩婚化・晩産化に伴い、35歳を境とした妊孕(にんよう)力の低下がクローズアップされ、不妊治療へのアクセスや低出生体重児、出生前検査数の増加などが顕在化している。出産適齢期の有配偶女性の就労割合も高くなっている。 そこで、就労妊婦の健康状況調査を実施した。職場への妊娠開示時期は、正常妊婦群が妊娠15週、切迫流産群が12週だった。就労妊婦は職場でのイメージ戦略として、妊娠初期にできるだけ開示しない傾向がある。また、職場への罪悪感は、正常妊婦群よりも切迫流産・早産の妊婦群の方が強かった。職場風土については、妊娠糖尿病の妊婦の方が正常妊婦より、家庭支援的でないと答える割合が高く、マタニティハラスメントの体験率も高かった。 これらを踏まえ、リプロダクティブ・ライフプランを持つことを提案したい。第1子出産を見据えた将来の家族像、リプロダクティブ・ヘルス(年齢、健康状態、妊孕力の知識)、キャリアプランを考慮しながら、夫のプランの影響も踏まえて、子どもを持つための見通しを立てることである。 さらに、子育ての観点からCoparentingの促進を提起したい。両親が相互的に育児を支えるために、継続して関わり、協力することである。ただ、男性の育児は世話よりも遊びの部分が大きく、男性の育児スキルを上げる必要がある。また、産後の父親のうつやパタニティハラスメントも増えている。現在の出産準備教育を見直し、家族に焦点を当てた予防プログラムを講じるとともに、妊娠期から行われる夫婦参加型の教育プログラムが求められる。 質疑応答 司会:石原 直子 (リクルートワークス研究所機関誌Works編集長) Q1:永瀬先生の調査で、2009〜2010年はリーマン・ショックの影響があったのではないか。 永瀬教授:この調査では、100人以上企業と未満企業に分けて時系列的変化を見ている。政策が先行実施された100人以上企業の出生率が大きく上がり、未満企業は横ばいだったことから、コントロールされていると考えている。 Q2:女性活躍推進を行った企業が利益率を上げているという分析には異論が多いのではないか。 山本:固定効果モデルでは、複数時点での変化を見ることで因果関係を特定しているので、もともと余力があって利益率の高い企業が女性を多く活用しているようなケースは除去される。 Q3: 個別企業のGEO方針の有無を、個人が就職や転職の際に見極める方法はあるのか。 山口:同じ業種の他企業の比べ、女性の管理職割合や正社員割合が高いことなどから推定はできる。私は人事担当者の自己評価に基づいてGEO方針の有無を調べたが、具体的施策との関係をあわせて見なければ女性活躍推進の効果は見えてこない。客観的指標でGEO方針を見極めるのは、今までにも幾つか試みはあるが、今後の課題でもある。 Q4:Coparentingを進めるプログラムは、どこが主催してどのようにやっていくべきか。 吉沢:Coparentingは自治体や病院などで行っている出産準備教育を手掛かりにしようと思っている。リプロダクティブ・ライフプランは、アメリカでは10〜20代から始まっており、高校・大学のキャリア教育と合わせて始めるのがいいだろう。企業では、健康保険室の産業医や産業保健師を巻き込んでいくことを考えている。 Q5:児玉先生の資料にある「外資系企業で働く女性の観察されない属性」とは何か。 児玉:たとえば外資系企業に勤める女性が、海外で経営学修士(MBA)を取っていたりする場合、同じ大卒でも賃金が異なることがあるといったことである。 Q6:長時間労働の労働供給要因については研究が進んでいるのか。 山本:日本人労働者が自ら長時間労働を志向するのは、日本人は働くのが好きだからという研究はある。また、心理学や性格要因によって長時間労働性向が高くなっているという研究や、周りにつられているからという研究もある。労働時間短縮のために、それらの点を解消するという方向性も考えられる。 Q7:アメリカではWLB施策によって男女賃金格差の状況は変わったのか。 山口:現在のアメリカは管理職の女性割合は43%で、中間管理職までの昇進は男女格差がほとんどない。格差解消の要因となったのは女性に不利無くWorkplace Flexibility(職場の柔軟性)を進めた影響が大きい。柔軟性を持ちながら男女同等の機会を与える制度を民間ベースで進めてきた。 第2部:パネルディスカッション「男女のキャリアとWLB―育児期の課題克服 個人のスタンス、企業のスタンス、社会のスタンス」 論点説明「ダイバーシティ経営、WLBを進める意義」 樋口 美雄 (日本学術会議連携会員/RIETIファカルティフェロー/慶應義塾大学商学部教授) 日本では、生産年齢人口が減少する中、女性や高齢者が働くようになってきたため、労働力人口は増加している。しかし、男女共通して非正規雇用が増えており、労働市場の二極化が問題となっている。また、就職氷河期によって若年層の非正規雇用率が高まり、中年層での無業率も高くなっている一方で、60代前半の男性では働く人が増えている。このように、労働市場構造が変化してきている。 厚生労働省雇用政策研究会の推計によると、WLB施策によって、経済成長と働き方改革により労働参加が適切に進めば就業者数は増える。一方、出生率は都道府県で顕著な差が見られる。長時間労働や通勤時間の長さが影響しているのではないかと考えられる。ダイバーシティ経営の促進はいろいろな経験と能力を持つ人が一緒に働くことにより相乗効果を生みだし、付加価値生産性を高める。ダイバーシティ経営を進めるためには働き方改革が不可欠である。 労働時間や働き方を改革する必要性はほとんどの人が理解しており、一部の企業ではWLBの推進を求める動きもあるが、社会全体としてはまだまだ進んでいない。これを具体的にどう進めていけばいいのか、企業、個人、社会の立場から議論していきたい。 パネリストよりコメント 武石 恵美子 (日本学術会議連携会員/法政大学キャリアデザイン学部教授):人事管理からいえば、WLBはダイバーシティ経営を推進するための手段であり、目的ではない。目的を達成するには、これまでの働き方が邪魔をするので、働き方改革を進めなければならない。両立支援策においては、能力をきちんと活用するための制度設計・運用が必要である。女性人材を活用する上で、今後は育成・異動・転勤などの人事問題が課題となる。 大石 亜希子 (日本学術会議連携会員/千葉大学法政経学部教授):日本の女性の有償・無償労働時間はOECD主要国中で最も長い。逆に、睡眠時間は韓国に次いで短い。男性より女性の睡眠時間が短いのは、主要国の中では日本だけである。日本の男女合計の有償・無償労働時間は、北欧諸国と比べて2時間ほど長いが、それらの国々より経済成長率が高いわけではない。日本は男性の働き方および男女の生活時間の配分を見直さないと、女性の活躍推進は難しい。 藤澤 秀昭 (経済産業省経済産業政策局経済社会政策室長):経済産業省ではダイバーシティ経営を成長戦略の一環として位置付けている。人口減少社会において、人手の確保などの量の議論にとどまらず、企業において女性活躍を推進する意味をしっかり捉える必要がある。企業競争力にもつながる女性活躍推進のためには、仕事と家庭の両立サポートに加え、女性のキャリア促進が不可欠である。 岩田 喜美枝 (公益財団法人21世紀職業財団会長/日本航空株式会社社外取締役/キリンホールディングス株式会社社外監査役):資生堂では、短時間勤務制度の改革を行った。美容職社員は出産後の復職に際し、短時間のシフト勤務を免除されていたが、それではキャリアを形成できず、職場にも迷惑がかかるため、個人面談をした上で、夜間や土日勤務に積極的に入ってもらうようにした。このように、企業は両立支援策として、免除ではなくフレキシブルな働き方を認めていくべきである。 石原編集長:女性活躍推進の最大阻害要因は、長時間労働体質にある。男性も含めて働き方を変える必要がある。残業をしなくても面白い仕事をし、成果を上げられるようにするにはイノベーションの視点が必要である。イノベーションは多様な知恵がぶつかり合うことで起こる。みんなが早く職場を出て、各自がいろいろなことをして知恵を持ち寄った方がいい。 ディスカッション 武石:企業はこれまでの働き方についてのコスト感覚を持つべきだ。長時間労働は効率が悪いし、転勤にしても移転費用や単身赴任手当などでコストが掛かる。育成政策上、どれほど効果があるのか、きちんと検証するべきである。 樋口:企業には転勤制度がある。転勤しない人を昇進させると、転勤者がいなくなるのではないか。 武石:転勤を全くなくすことは難しいが、過剰に行われている気がするので、やり方も含めて見直す必要がある。また、いつどこへ転勤になるのか分からないので、将来設計ができないことが労働者にとって負担になっているため、ある程度可視化できるといい。 大石:働き方を変えるには、欧州連合(EU)の勤務間インターバル規制のように、労働時間の上限規制を設ける方法も考えられる。イギリスは勤務間インターバルを導入していないが、子どもの有無にかかわらずほぼ全ての労働者に柔軟な働き方の申請権がある。子育て中の女性だけでなく、全ての労働者を対象にした施策を導入すべきである。 藤澤:長時間労働をどう是正していくかが大きな課題になっている中、働き方を変えていくために社会の意識改革をどう図っていくのか真剣に考える必要がある。企業としても、マニュアル化され表層的な対応に止まるのではなく、企業全体がどう成長していくかという経営課題に向き合った議論が必要はないか。こうした観点から、企業内の各層において相互にコミュニケーションを深めていただきたい。 樋口:資生堂はどのように働き方を見直そうとしているのか。 岩田:両立支援の方向転換に当たっては、社員各自で事情が異なるので、上司が1対1で2回面談し、どこまで通常勤務に入れるかを家族と相談して決めるという丁寧なプロセスをとっている。全体の働き方改革はまだ成功していないが、成功している他の会社には必ずトップのコミットメントがあり、残業「削減」ではなく残業「ゼロ」を目指して、業務改革レベルで取り組んでいる。 樋口:多様な働き方が進むと評価が難しくなるのではないか。 石原:評価の中身を変えていくことが大事である。海外の会社では、成果を出したことと、その会社が求める「あるべき姿」をどのくらい体現したかで評価が決まっている。 岩田:今の目標管理制度では、長時間労働の方が良い評価になってしまう。今の評価制度の評価結果を第1次評価にし、それを労働指数で割り、時間当たりで評価するとよい。 樋口:中小企業や地方の企業ではどのように取り組んでいけばよいか。 藤澤:優秀な人材を確保することはどの会社にとっても大事なことである。中小企業では、大企業に較べ、経営者の意思決定が会社全体に迅速に浸透しやすく、こうした特徴を活かしたダイバーシティ経営を進めていただきたい。 樋口:女性が子どもを持つことはキャリア形成上、不利にならないか。 大石:時間当たりの成果に注目する評価制度が導入されなければ、不利になるかもしれない。男女とも在宅勤務など時間や場所にこだわらない働き方の枠組みができるといい。 樋口:長時間開業することが顧客サービスになっている風潮がある。社会全体で改善する必要があるのではないか。 石原:消費者も含めて、不便を共有する必要がある。 岩田:消費者の利便性と働く人たちの幸福をバランスさせることはとても大きな課題である。まずはWLBについて官民トップ会議で議論を喚起すべきである。 藤澤:競争力を犠牲にしてバランスさせるのではなく、競争力を高めるためにこそ時間の価値を見直すことが大事である。いろいろな形で議論を深め、意識改革をしていく必要がある。 武石:労働時間短縮に向けて、業界と役所が一緒に進めていく方法もある。また、安い賃金でサービスを提供していることが、ブラック企業問題にもつながっており、コストに見合ったサービスを考えていくべきである。 樋口:国全体としてWLBの問題に取り組むことには誰も反対しないが、個別の取り組みはなかなかうまくいかない。社会としてWLBの実現をますます追究していく必要がある。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 終了したセミナーシリーズ 情報発信 ニュースレター 更新情報RSS配信 Facebook X YouTube 研究テーマ プログラム (2024-2028年度) プログラム (2020-2023年度) プログラム 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